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WE(僕たち)ではなくて I(私は)

一人称をきちんと責任をもって使う人がいい。


私は人が無意識に使う単語、表現、言い回しを観察する癖がある。


「僕は」といえばいいところを「僕らは」といわれると、引っかかる。

「みんなそうでしょ」
「普通は」
といった言い回し同様、気になる


「僕ら」って誰と誰と誰よ、名簿出してみろよ、と内心思う。
全員の同意もらって「僕ら」って表現を使っているのか。

「みんなそう言ってる」、、、だから、誰と誰と誰がそういってるのか言ってみろよ。
そう思う。


こういった言い回しは発言の責任の所在を曖昧にする「逃げ」だと思っている。
あるいは、「僕ら」と「あなたがた」との間に線を引こうとする排他精神である。


実際には「全員」の了承を取ってないんだから、
「僕は」「わたしは」という一人称できちんと語るべきだと思うのです。


そうすることで見えてくるものがあると思わない?

テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

話していた時は気にも止めなかった言葉が

ずっとあとで

心のあちこちにひっかかっていて

大泣きしてしまう

波打ち際で波が退いた後に残る

尖った貝殻みたく それは

いつの間にやら突き刺り

私を痛めつける

  




何本もの棘

 

喪ったものを 思い知らせる 棘たち
 





   
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テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

蜘蛛の巣

緻密に張られた蜘蛛の糸が
無造作に壊される
ひとふりで 払いのけられる脆い存在。


渾身の力で
身を削って吐き出した糸で編まれた作品が
いとも簡単に。


だけど かまわず
彼はまた営々と作り直すだろう

人間のように悲しむこともせず
黙々と
ただちにまた
「現実」を綴り始めるだろう


彼の世界
彼の棲家
彼の日常。


何度払われても
何度否定されても
その意味など考えず。


いつか主の消えた巣だけが残される日まで

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

マッチ売りの少女

「居場所がない」

心の奥でちくちくと痛み続けるこれは、
どこにも居場所がないと感じる気持ちだ。
 
もう15年以上暮らしている相手は、私を嫌いだと明言する。

うわべでは笑い合い、手をつないで歩いたりするくせに
根源では私を拒否し、
彼の軽蔑して憎んできた母親と同じ性の身近な女を、
母親のかわりに軽蔑し拒絶し否定し、憎んでいるのだろう。
 
旅行に行き、夜散歩に出て
満天の星空を一緒に見上げて
一緒に「あれが北斗星」「あれは何座?」と平和に会話をしているのに
その実、定期的に私の心を徹底的に潰して壊すシーンが繰り返される日常。 

だから私は楽しむまい、
心の鍵を開けるまい、と誓う。
楽しい時間は自分にとってはお芝居に過ぎないと思っている。
そうしなければ壊されるから。

そして気づく。

ああ、これって「居場所がない」ということなのだと。

誰も彼もが自分の家を持ち、自分の居場所にいるように見えるのに
私は自分の家にいながら自分の居場所がみつけられない。
では居場所がある、とはどういうことなのだろうか、と考える。
それはおそらく、誰かに心の底から肯定され、受け入れられ、歓迎される場所があることだ。
 

そういえば、私が今 わずかに居場所を見つけているのは
すべて「領収証」の存在する時間だ。
尊敬する音楽家の先生との時間には領収証が飛び交う。
レッスンというのは、誤解を恐れずに言えば、
ある種の経済的利害関係を伴う人間関係なのだから、
私が貧乏になり音楽費用どころでなければ、消えてゆく宿命だろう。

レッスン代が払える間だけ出現する幻の居場所。
そういうことだ。
 

では、それらを「お金で自分の居場所(時間)を買う」という行為に還元して考えてみてはどうだろうか?
一時の幻、一時の癒しを求めて、ホストクラブやキャバクラに通う人たちと、どこに違いがあるのだろうか。
 
 
その軸で考えたならば、私を含め、彼らは全て「マッチ売りの少女」たちなのだ。

マッチをすり続けて夢を観る。
マッチがなくなったら凍えて死ぬだけ。


そう考えたらとてつもなく切なくなった。 
 
ずっと私を追い立てている焦燥感の源は、この儚い自分の足場への不安なのだろうか?

居場所がないまま、さりとて死ねないから回り続ける独楽のように
喘ぎながら生きている、という現実。

私のマッチが尽きる日を恐れながら。
 

テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

芽吹きの春

古い命が終わる冬
新しい命が芽吹く春。
 
新旧交代するのにふさわしい季節だよね。
 

たぶんこの春、
私は、ずっと引きずってた荷物から自由になるだろう。
徐々に徐々に涙とともに心の奥に準備してきたものが
一斉に芽吹いて
古いものを押し隠してゆくだろう。
 

圧倒的な新しい命たちの輝きが
過去を遠い景色に変えてゆくだろう
  

私は出会った頃よりずっと年を取り
死がいつも隣にあるような気持ちになることがある。
 
早く死んでしまいたいのかもしれなくて
だから燃焼し続けて、全力疾走し続けてるのかしら。
 
20代の後半に初めて、自分が死にゆく者という実感を抱いた。
ちょっと早すぎるかもしれなかったけれど 
私は精神的には早熟な少女、と皆に言われていたから
妥当なことだったのかもしれない。
 
きっかけは親が年をとったなと感じたことじゃないかな。
 
できたことができなくなる。
子供の頃に抱いてた圧倒的なパワーがなくなってゆく。
 
滅びてゆく。
衰えてゆく。
そういう気配を既に感じ取った。
 

永遠などはどこにもない。
心の中のファンタジーとしてあるだけ。
 

ろうそくの長さが減っていく一方であるように
人生は終わりに向かってだけ粛々と進んでゆく。 

28歳ぐらいでそう感じていた。
 

だからいつも焦燥感があったのかもしれない。
 
やり残したくない。
開けずに後でずっと引きずるような扉を残したくない、と。
 

良識ある人が、ちゃんと開けずに我慢する扉を開ければ
否応なしに「ドラマ」は始まってしまう。
 
昔 私の大好きなある人(今は立派な文芸評論家になった) が私に言った。
「”これを言ったらおしまい”という一言を主人公に言わせてしまうのが、小説の手法のひとつでもあるよな」
そう。 
開けない扉を開けてしまうことで、物語が始まってしまう。
 
そんなことの繰り返しが私の人生だったけど
後悔はもちろんしてませんとも。
片っ端からめぼしい扉を開けてみたから、もう十分お腹いっぱいです。
 
  
他人に「開けてごらん」とは別に言わないけど。
そうとうに大変だから。
でも、なんでも経験してみて乗り越えたら、血肉になるから悪いことはないと思う。
 

やってダメだったものには全く未練が残らないということは言えるでしょ?
だからいいんです。 
不意打ちみたいな未踏のパターンに出会っちゃったら、
あえなく敗北するけれどね…
何しろ、人生は一度きり。
 
 
今日が一番若くて
明日は今日より死に近づいてる、ってこと。
 


20歳ぐらいをピークにあとは生物的にはゆるゆる下降線、
40代後半ぐらいからは急降下でしょ? 

やりたいこと 知りたいことは全部やってみていいと思うの。
 

 
誰もあなたの人生をかわりに生きてくれないんだから。
 



・・・・血反吐を吐くほどの辛い想いも
いつか「過去の森」の中に守られた美しい物語になる。
  
永遠などどこにもない。
心の中の永遠は私(か相手)の生命とともに消えるから。 
  

暗い広い宇宙の中のたくさんの星のひとつのように
とても孤独に 微かに輝いている。
  

星と星がまたたいて 挨拶する。
 
手の届かない億光年の彼方の星の光。 
だけど私のところからそれは見える。
あの人のところからも私が見える。
 
この心の奥の大切な秘密を道連れに
生が終わる時までただひたすらに歩いてゆこうと思う。 
  

テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

逝く

消えかかった蝋燭の、弱々しい炎。
あるいは、
ひと揺れで落下しそうな
線香花火の小さな火の玉。
  

触れてはだめ。
触れたらきっと消えてしまう。

 
  
大事に大事に
揺らさないように そっとかかげて
手のひらで守る。
  
これ以上汚れないように。
これ以上歪まないように。


わたしは言葉を手放す。
 

言葉は
流れ出る 血。
  

深い深い喪失感にもだえながら 
その貧血感に目眩しながら
言葉にしがみつく指を振り払え
血にまみれた着衣を
するりと脱ぎ捨てよ
  
 
横顔
後ろ姿
残り香だけの私に
ついには私の影(音楽)だけになれ。


遺骨も
遺髪も手にせず


言葉を棄て
美しく官能的な
あの音楽にひとり抱かれながら
私は逝こう
 
よたかのように
私は消えてゆこう


  
あの黒い宇宙の闇へ
 



月と金星と木星

 

   
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  ------- Feb 2013


テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

憧憬

静かに頭のなかに響く音に耐える
 
耳をふさいでも塞いでも
それは鳴り続ける

美しい音
官能的な音  


誰もいない暗闇で
この音と添い遂げることが
私に許された唯一なのだろうか
 


いいえ もう
いっそ
この音を消し去りたい
私の心を囚える この悩ましい音を
  
決して手に入ることのない
この音を
 
   
狂おしいほど愛しい この音を




   
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 雪

  
  ------- Feb 2013




テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

喪失

自分が無理をしていたんだな、ということは
無理をするのをやめてしまった時にしかわからないのかもしれない
 
植物状態のからだから生命維持装置を外してしまったあと。
崖から落ちないようにきりきりしながら掴んでいた腕をとうとう放してしまった後。
 
僅かな望みに全てを注ぎ込んでいるうちは、囚われ、
結局のところ「希望」と言う名の牢獄にがんじがらめになっているのに、
最中では決してそのことに気づかないのは何故なんだろう?
 
ううん。「気づいて」はいるんだろう。
いつだって、終わったあとには全てがわかるのだから。
それは突然わかるわけではなくて、最初からそこに「在った」はず。

同じ部屋の暗闇で、ずっと存在していたそいつ(真実)は、
視界の片隅には入っていたはずなのだ。
 

何度やっても懲りないのは何故なのだろう。
こんどこそ、と誓ったはずなのに、何度も何度も。

口当たりの良い夢語り
たやすく流れる一見美しい涙たち
どうしてそんなものを何度も何度も信じるのだろう。
 

夜空を見上げても、もう、あの星たちのどこにも
「人知れず咲いている薔薇」は存在しない。
私が、その物語の嘘と向き合うことになった時に、
この手で幻想の薔薇の花を手折ったのだ。

心の森の中には、からんからんと乾いた音がこだまする。
 

悲しむものか、と思う。
もう無駄な涙など流すものか、と思う。
惜しんだりするものか、と思う。
 


何年も心の部屋の片隅に、意地になって手放さずに置いていた、
あの緑の小箱を、今日ゴミ箱に投げ入れた。 


もう、何の意味のない箱。
浦島太郎の煙すら入っていない箱。
 
私を縛っていたいろんな約束事を
片っ端からゴミ箱に捨てていったあと

かなしいのに 心は妙に軽やかになった。


こんなに、かなしいのに。
 
安っぽい感傷の罠に再び陥るものか、と誓う。
  
後ろを振り返るヒマもなく、新しいもので埋め尽くしていかなくては、と思う。
 

陳腐化し、意味を失い、かなしいほどに卑小に劣化したそれを、私はどう扱えばいいのか。

次々と捨てながら、どうしても最後のひとつに触れることができないでいるけれど、
とりあえずは、いま触れたくないものにまで無理に触れるのはやめようと思う。
 

さあ、少し、おやすみなさい。
ずいぶん自分に嘘をついて、頑張り続けたね。
もうそんなことはすべてやめて、
無理しないていようね。
自分よ。


night.jpg

 






  

 



テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

貝殻

100度書いて
100度消す
伝えずにいられぬもの
 

文字ではない
言葉でもない
   

波打ち際で 
何度 砂をかぶれども
流されぬ美しい貝殻のように
心に留まるもの
  

 
からっぽの部屋で
目を閉じて
痛みに耐え続け
耐え切れずに
楽器が歌い出す
   


   
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海
 
  
  ------- Jan 2013


   

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

私の棺に

3月に死んだら棺に沈丁花を
6月に死んだらクチナシを
10月に死んだら金木犀を入れてください
 
1月に死んだら雪うさぎ
あの降りしきる雪の恐ろしい夜を忘れたい
  
2月なら紅梅を一枝
4月は、あなたの名残の花桃を棺いっぱいに
  
7月に死んだら 濃い影を
  
あなたと夢を重ねた8月に死んだら
熾火の灰を一握り
あの音楽を奏でてください
  
あなたを失った11月に死んだなら
あのモミジバフウの紅と
イチョウの葉を敷き詰めて
   
  
そしてどうぞ
最後に
空っぽのあの緑の箱を
もう思い出すら入っていない
あの箱を入れてください


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モミジバフウ



テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

ゆふぐれ

秋は その空気に 
すでに 冬を孕む
生が予め 死を孕むかの如く 
  
あこがれと
さみしさと
かなしみと
痛みの一杯に詰まった胸の中が
こぼれないように
そっと大事に抱えて
他人だらけの満員電車に乗る
  

やがて暮れては
凍りつく藍色の夜空に
冷たく輝くのはオリオン座
 
わたしは
この胸を抱えて
どこまで乗ってゆこう
 


夕景



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----Nov 2012



テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

のちの思ひに<立原道造>

夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を
  
うららかに青い空には陽がてり 火山は眠つてゐた
――そして私は
見て來たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた……
  
夢は そのさきには もうゆかない
なにもかも 忘れ果てようとおもひ
忘れつくしたことさへ 忘れてしまつたときには
  
夢は 真冬の追憶のうちに凍るであらう
そして それは戸をあけて 寂寥のなかに
星くづにてらされた道を過ぎ去るであらう
   

  
     詩:立原道造 『萱草に寄す』 ソナチネ



テーマ :
ジャンル : 小説・文学

伝えたかったものは
何だったのか
あなたに 伝えたものは
伝えたかったものだったのか


何も映さぬ鏡に 毎日 問いかける
 
「あなたは どこ?」
 
あなたが受け取ったのは
なんだったのか
わたしは なにを 投げつけたのか

曇った鏡に 問いかける

「わたしは どこ?」
 

ああ もう 日が暮れる
鏡に 夕焼けだけを映して

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----Oct,29 2012

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

秋のよく晴れた朝
冬に向かう太陽
夏に向かう太陽
似ているようでいて
春と秋は遠く隔たる


  死の闇に向かう太陽
  生の輝きに向かう太陽 
 

1年前 いた猫が 今はいない
2年前 いたひとが 今は遠い彼方

(ねえ
 わたしも
 あなたも
 2年分 死に近づいたね)
 
こうやって みな
終末に向かって
静かに歩いてゆく
 

金木犀のかぐわしき香り
終わりへの粛々たる行進
 
 



 
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----Oct 2012
 

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

25才の自分の写真は大事でも
そのとき愛してた男の写真は
まるで知らない他人
 

手に入らぬダイヤモンドより
手に入る銅で我慢しろと
耳元で囁く神がいる
 

滅びの前の美しすぎる1日の輝きが
宝石のように胸を締めつける
それはもう
無意味な古びた写真に過ぎないのか
 

「心動くうちは
 まだ命は続いているのだよ」
別の神がそう呟く
それがまるで
人工呼吸器に支えられた命であっても
 

消えぬ痛みすら愛おしい、と
痛みだけがあなたと私の絆となるだなどと
あの秋の日に誰が思ったろうか
  
 
 
 
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(2012.09)

 



   

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

人生は1本の蝋燭だ。

去年の今は猫4匹にかこまれてた。
そのうちの2匹は冬になって死んで消えてなくなった。
去年の今頃、私は人生最大級の喪失感の中で溺れかかっていた。
 
一昨年の今は濃い色の夢の只中で無我夢中だった
今は灰になった夢の時間
だけど今尚それは熾火のように消えきらず、苦しんだり悲しんだり。 
いつ消えるのか、それともずっと続くのか、神様しかわからない。
  
今年の夏はもう半ば過ぎた。
木陰の風が盛夏を過ぎつつ在るのを知らせ、
蝉も虫も必死で鳴き続ける。
 

そういえば、私の居場所と確かに思える場所があったことはない。
その日、その時の居場所をみつけ、日々を過ごしてゆくみたい。
でも、そんなものかもしれない。 
それに…、それで充分生きて行けているじゃない・・?
   
とりあえずまだ身体は病気になってない。
それで充分面倒は回避できるだろう。
  
独楽のように回り続け、倒れた時が死ぬときかなと思うことがある。
どうぞ早く終わらせて下さい、休ませて下さい、と神様に祈る。

いつ死んでも別にいいなぁ、と最近は毎日のように考える。
わりと、いつも全開で生きてたと思う。
山も谷も、うーんと深い。
 
開けてみたいと思った扉は片っ端から開けてみた。 
最近は開けなくても中身がわかるようになってきた。
いやでも、懲りずにまた、「開かずの扉」を開けちゃう日が来るかもしれないな。
 
前世だの来世だの、私は考えない。
そんなごたくを並べる前に、現世をどうにかしろよと思ってしまう。
 
現世で全力出さない人は来世でも同じ間違いを繰り返すに違いないと思う。
 

来世で、なんてのは言い訳だ。
来世なんてないよ。
 
「死ねば死にきり」 (高村光太郎の詩)


人生は1本のロウソクだ。
 
燃え尽きて終わってそれきりだ。

テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

暗闇

薄明かりの中
離れてベットに横になると
黒猫が静かに寄ってくる
じっとみつめあう瞳の中に 素直にうかぶ愛情の色

腕を伸ばし あたたかい身体にに触れる

喉を鳴らす
私の手をやさしく舐める。
静かに私に寄り添う
ぬくもり、触感。
  
愛情が素直に伝わりあう
美しい時間
 
わたしは あなたといると 
そういう時間が持てた
あなたとだけ
 

暗闇の中にどこまでも侵食する
喪失感
 

猫とふたり
とりかえしのつかぬ闇の中に瞳を凝らす
 





テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

猫。

                                  

猫はいつも私の傍らにいる。チェロを弾くとき、ピアノを弾くとき、
夜、眠るとき。いつの間にかすぐ横で寄り添う。
抱きしめてと眼で訴え、濃厚に情を交わし合う。 
 
私の母親は私を抱きしめなかった。いや、うんと幼い頃には抱いてくれたのかもしれないが、少なくとも私の記憶に残っていないのは確かだ。
「甘えてはいけない」というのが常に彼女のメッセージだった。

人間には父性と母性が同時に共存するものだが、彼女は恣意的に父性の側だけで私に接しようとしていたように思う。
本当の父性ならまだしも、父性もどきという質の悪いものだった。
 
暖かな体温で包み込み、抱きしめ、甘えさせ、理屈抜きで全存在を肯定するような繋がりを通じて、人は安定した精神基盤を得ると思うが、私の母親はそういったものを与えることを拒否した。
少なくとも娘にはそういう効果を与えた。
 
ひとつには彼女は人の何倍も神経質で潔癖症な娘(かつての)だったことがあるだろう。 彼女は20過ぎまでにかなり過酷な人生を送った。
気性は激しく、自意識も強く、またコンプレックスも大変強かった。
優等生で美人の妹に比べ色黒で痩せっぽち(娘時代の話だ)の封建的な農家の長女。芸術的才能がそれなりにあったようだが、環境がその開花を阻んだ。彼女は全身で闘った結果、単身誰にも助けてもらわず家出娘として上京し、国立の看護学校の寮に勝手に入った。
住居費も学校の費用も要らなかったからだそうだ。
 
やりたかった勉強をし、やりたかった文学活動もした。
その中でインテリ詩人のはしくれの父親と知り合い、駆け落ち同然で結婚した。

・・・・・とまあ、替わりに自伝を代筆出来るほどに聞かされた物語だ。

彼女のエネルギーの根源は、そういった恨みつらみとコンプレックスだったのだろうか。

東京に出てきた彼女が愛読していたのは智恵子抄の「東京には空がない」というあれだ。まさに、あのままの気持ちだったのだろう。
あまりに神経が繊細だったのか、結婚した頃は、ノイローゼになり電気ショック療法を受けたと言っていた。
いわゆる芸術家肌の面倒くさい気性の女だったのだろう。
 
そうして私の思うに大変な潔癖症だったに違いない。

私が15年ぐらい前、今の夫と出会う以前に声楽は一切生理的に受け付けなかった原因はこの母からの刷り込みにあったと思う。

彼女はいつも「声楽は身体が楽器で、気持ちが悪い」と繰り返していた。同じような理由で管楽器には寒気がするといつも言っていた。
唾液が垂れる管楽器。
そのイメージは潔癖症な彼女には心底耐えられないものだったようだ。
身体的なもの、肉体的な接触や分泌物、全てにおいて彼女は嫌悪感を顕にした。 当然その母親に育てられた娘もそれが刷り込まれた。

「女」という性を彼女はおそらく否定し毛嫌いしていた。
私は小さい子供の頃、「少女漫画は女のいやらしさを育てる」という理由で、漫画を読みたいなら少年漫画にしろと言われた。

小学5年ごろ、家族旅行の列車の中で交流した他所の少年に自宅の住所を教えたら、母に「汚らわしい」と言わんばかりの形相で怒られた。
男に媚を売る、と蔑まれた。 
男に服や宝石をねだるのは娼婦のすることだと固く戒められた。
 

私はだから少女時代、UNISEXなキャラクターとして男子からも女子からも見られていたようだ。
自分の中の「女」を知らず知らず蔑み嫌っていたと思う。
 
いつもひとりだった。
だが、潔癖症な割りには、年長の男性がいつもアプローチしてくるので、男性との交際は中学頃から途切れなかった。
もちろんプラトニックなんだけども。 
家には自分の居場所がないと感じていた少女にとって「恋人」は血縁よりもずっと重要な存在だった。
それは現在まで変わらない。 私にとって血のつながりなど糞にもならぬ、全く重要性の薄いものでしかない。
私は友人も必要でなかった。 恋人ただひとりこの世にいたらそれでよかった。
私にとって恋人は、唯一私が心を開ける存在としての役割が要求されたのだ。
 
 
当時の詩を読むと、情念は人の何倍も濃いのがわかる。
それを全て内側に押し込めていたというわけだ。

それでも年齢と経験を重ねるに連れ、恋人たちの尽力によって、少しずつ自分の中の「女」を解放し、肯定できるようにはなっていった。

しかし母性的な交流への飢えが自分に色濃くあることは、50歳近くなるまで自覚していなかった。
父性論理ばかりに囲まれ、誰も私を母性的に愛してくれなかったし、男たちは私に母性を求めても、私に母性的愛を与えてくれたわけではなかったから。(皆無というわけではないにせよ。)


そして、猫。
猫はいい。コトバがないからなのか、コトバが元々要らないほど自然なのか。 愛することの素直な姿を見る気がする。
目と目を交わし合い 気配をやりとりするだけで情がしっかり通じ合い、抱きあえば互いが強く愛し合っているのを実感できる

母が私に与えなかったもの、誰も私に与えないもの、
これからも私が人に対しては飢え続けるであろうものを、現在のところ猫だけが私に与えてくれる。

私が素直に愛することを受け入れてくれ、素直に愛情を返してくる愛しいもの。
 
でもこの愛しいものは、じきに私を置いて旅立ってしまう宿命のものでもあるのだが…
 


愛する父は2005年にこの世を去った。
私を愛さなかった母はまだ生きているが、癌だというから長くはないだろう。
母がこの世を去ったら初めて私は彼女を普通に愛することができるだろうか?











==============2012
    ★随想目次

テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

呪い

行かないで
私の手を離さないで
私をもう一度愛して
手の届かぬ彼方へゆかないで
置いていかないで
そうでないなら
いっそ 死んで。

 

 
  
===================(2012)

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

私は あなたに呪いをかけた
あなたの心がどこにも行けないように
あなたの心に 迷いの種子を植えつけた
 
密かに
気づかれぬように
 
種子は知らぬうちに育ち
あなたの心を支配する
 

「わたしのものにならないのなら
内側から滅びておしまい」
 

そう 念じながらしかけた
密かな 密かな
情念の罠 
  

ああ
盲てぼろぼろになって彷徨うあなたの
コーデリアに私はなりたい
と 念じながら





 

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

洗濯<黒田三郎>

酒を飲み
 ユリを泣かせ
 うじうじといじけて
 会社を休み

 いいところはひとつもないのだ
 意気地なし
 恥知らず
 ろくでなしの飲んだくれ

 われとわが身を責める言葉には
 限りがない
 四畳半のしめっぽい部屋のなかで
 立ち上ったり坐ったり

 わたしはくだらん奴ですと
 おろおろと
 むきになって
 いまさら誰に訴えよう

 そうかそうかと
 誰かがうなずいてくれるとでもいうのか
 もういいよもういいよと
 誰かがなだめてくれるとでもいうのか

 路傍の乞食が
 私は乞食ですと
 いまさら声を張りあげているような
 みじめな世界

 しめっぽい四畳半の真中で
 僕はあやうく立ち上がり
 いそいで
 洗い場へ駆けてゆく

 小さなユリのシュミーズを洗い
 パンツを洗い
 誰もいないアパートの洗い場で
 見えない敵にひとりいどむ

 水は
 激しく音をたてて流れ
 木の葉は梢で
 かすかに風にうなずく



                     詩集「小さなユリと」

テーマ :
ジャンル : 小説・文学

九月の風<黒田三郎>

ユリはかかさずピアノに行っている?
夜は八時半にちゃんとねてる?
ねる前歯はみがいてるの?
日曜の午後の病院の面会室で
僕の顔を見るなり
それが妻のあいさつだ

僕は家政婦ではありませんよ
心の中でそう言って
僕はさり気なく
黙っている
うん うんとあごで答える
さびしくなる

言葉にならないものがつかえつかえのどを下ってゆく
お次はユリの番だ
オトーチャマいつもお酒飲む?
沢山飲む? ウン 飲むけど
小さなユリがちらりと僕の顔を見る
少しよ

夕暮れの芝生の道を
小さなユリの手をひいて
ふりかえりながら
僕は帰る
妻はもう白い巨大な建物の五階の窓の小さな顔だ
九月の風が僕と小さなユリの背中にふく

悔恨のようなものが僕の心をくじく
人家にははや電灯がともり
魚を焼く匂いが路地に流れる
小さな小さなユリに
僕は大きな声で話しかける
新宿で御飯たべて帰ろうね ユリ




                   詩集「小さなユリと」より

テーマ :
ジャンル : 小説・文学

fiction

みてくれほどに あたたかいわけではない 
誰もが閉じていて 誰もがひとりひとり
誰とも本当はつながってなどいない


「つながり」など便宜上のもの
すべてが虚構
すべては
作り笑いと社交辞令にすぎぬ
 


かなしみ
さみしさ
わけがわからぬ胸の痛み
 

だれもいない
どこにもいけない
すべては仮のたたずまい
 

声にならぬ声が
ふくれあがり
誰もいない暗闇で破裂する
 


虚構であれ どこかにつながっていたいなら
誰にも聴かれてはならぬ
人知れず叩き潰す まるで
気泡をつぶすように
 
 

死んで 遺書として遺されたものだけが
唯一  他者に真摯に受け止められる言葉だ
そんなことは 15の頃に気づいていた
  


私は死なない
だから
私のことば 誰にも届かない 
 

すべてがfictionのこの生の中で
ただ real なのは 痛みだけ



 
きっと それでよい
 




 
 

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

火の鳥

高校生の頃、手塚治虫の「火の鳥」を初めて読みました。
原始時代に火口の奥で暮らす一家のシーンがありました。
若者が火口を内側からよじ登って外に出ようとする。
途中であまりに苦しくて自問自答する。手を離そうとする。
そこに火の鳥があらわれ、彼の問に
「あなたは今生きているのだから生き続けなければならない」 と囁く。衝撃的でした。

「意味」 などは元々存在しない。 
あらゆることに「意味」を求めるのは、人間という不完全な生物の病だろうか?
意味を求めなければ苦しみはないのだろうか?

猫も鳥も「意味」にしばられず、ただ”今”を生きているように見える。
人はそのようになれない生き物らしい。 これは自分自身を振り返り常日頃思うことだ。
「般若心経」は、だからこそ、ものごとへの意味づけ(「色」)を捨て去った「空」を夢想してみせるのだろう。

 
少女の頃に出会った、生と死の象徴である手塚治虫の火の鳥の言葉は、
その後ずっと自分の心の底で密かに響き続けている。
 

吉野弘の詩ではないが、生まれるということが英語では受動態なのは象徴的だ。
I was born.  
人は生まれさせられる。 自分で選んで此処にいるわけではない。
そして、有無をいわさずそこに在ることになってしまったからには
命をもぎ取られる時まで生き続けるしかないのだなぁと。

 
ならば生きることは 「諦め」か?
そう感じる瞬間がある。
不思議なことに、自分は、生きることの「意味」を問うたことはない気がする。
なぜ生きなければならない?と考えることはなかった。
もういいです、もう余命を返上しますから、あの人とアノ人と猫に分配してください、と神様にお願いすることはあっても。
  
神様がまだ私の余命を所望しないから、
なかば諦めのような気持ちで「あの角までとりあえず」と思いながら、
のろのろと足を進めている
 
きっぱりと「あなたは生き続けなければならない」と私に言い渡し、背中を押してくれる火の鳥がいてくれたらいいのに。
 

 


      自作詩と随想  目次


「つながる」

例えば女としての私にダイレクトな興味を持たれるよりも、
今の自分は 
私の 音 や 私の コトバ を通してつながれる人だけを 求めてるのだろう。
 
男とか 女とか 大人とか 子供とか 恋とか通り越して 
そういうとこから繋がってくれる人だけが ほしい

そういうのでしか 私の淋しさは埋まらない  


刹那が永遠
刹那がすべての真実
 

八木重吉の書いたように、「これを読んで (これを聴いて) 私をあなたの友にして下さい」
そういうこと。
 

自分の猫と心が通わせられるように誰かと情を通わせ合えるのなら それは素敵だ。
そんな繋がりら欲しいけど
哀しいかな、
人間にはコトバとか自意識などという邪魔なものがワンサカあるから
大抵の人はそれにスポイルされて、純粋に誰かとすんなり通じ合うことは難しい。
たぶん私も。
 


ぽくぽくひとりでついていた
わたしのまりを
ひょいと
あなたになげたくなるように
ひょいと
あなたがかえしてくれるように
そんなふうになんでもいったらなあ

(八木重吉)

 

それができないかわりに、その代償行為として
詩や 演奏した音楽 という自分の「作品」を通して抽象的につながりあうことを私は求めるのかな?
生身は痛い。生身は怖い。それでは傷つくことはあっても、多分満たされることはない。


猫と成立しているようなレベルでひとと何かを共有ができるのなら それが私の一番欲しいもの。
でもそれは奇跡みたいなもので手に入らない。
それが出来るのは本当の魂の片割れのような相手だけだ。
そんな人に私はこれまでの生涯で2人だけ出会ったけど 2人とも一緒にはなれない出会いだった。
腕をもぎ取られるみたいに別々に生きることになった。
恋だの情欲だの、そういう話じゃなかった。もっと根源的なものだった。
失ったあとに私の心はそこにフックされたまま 以後、他の誰にも同じようには動かされない。

  
だけど、音楽でもコトバでもいい、自分の「作品」というゲートを通じてなら、
違う意味で誰かに届くことが出来るかもしれない
生身でガチで向き合って心と心をわかちあうことはしないけれど
知らない誰かと
心の中に同じ「種」を共有しながら  交差することのない人生を歩む。
 
それはまるで
夜空を見上げて あの無数の星のひとつに自分の友達が棲んでいると信じることが出来た瞬間のように
私の心を励ましてくれるかもしれない。
そうだ。
「星の王子さま」の中で、王子様がバラの花に思いを馳せて語ったセリフのように。
  

私はもう そういうものしか求めていない。
 

私の心を動かすような音楽
私の心を動かすようなコトバ
私の心を動かすような○△□…
 
そして 私の何かが同じように 誰かの心の奥底に届くこと。
 

この文章はただの心のスケッチ。
 
 

なんていうかな・・・   
泣きたいけど泣けない
だから泣くかわりに 弾いている気がするのだ。
 
  

テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

音楽

あなたは求めてやまぬ神
私に全てを捧げよといざなう悪魔
日々 弾くことは
そのまま祈ること
 

寝食も忘れ
孵らぬ卵を
抱き続けて死んだ小鳥のように
わたしは
今日も
黙々と供物を用意する
あなたへの捧げ物を
 

あなたへの想いは
官能そのもの
「求めるもの」「焦がれるもの」の象徴
 
  
それは
わたしの 求心力の在り処


あの曲を弾きながら
何にそんなに身悶えするのか
わけがわからないまま
焦がれ焦がれて苦しんだ
 
 
いま 私は 「神」に捧げるために
私の中に向きあう
正気の沙汰でないぐらい
きりきりと向かっている
   

どこまで追い求めても満たされることのない飢えに
身も心もすべて奪われ
   

身を削った雫が
少しずつ心の井戸に満ちてゆき
いっぱいになるたびに
それを 神の祭壇に供える
 
  
そしてまた
次の供物を営々と準備する
その繰り返し 
この祭壇を失えば
生きてゆく意味もきっと見失う
 
 
あなたは
神だから
私は一方的に捧げるだけなのだ
 
 
私に出来ることは
目に見えぬ神様に向かって
祈ることだけ
求めてはいけない
わたしは捧げるだけ
  

私は私の何もかもを
あなたという神に捧げてしまった






テーマ :
ジャンル : 小説・文学

冬の海

きのうは ずっと雨で寒いなと思ってたら 夜になって 雪
寝る前に外を見たら 積もってる
 

暦ってすごいよなと毎年感心する。

寒の入り、大寒…  という今の時期は
律儀にちゃんと冷え込んで、雪が降ったりするのだもの。

冬のハイライトみたいな寒さの、すぐあとに「立春」


このコントラストが、ね。


いちばん寒い気がしても、冬至からは既に1ケ月過ぎていて、
日が長くなってゆく、季節の上り坂の途中なんだよね

 
冬の太平洋側気候が好き。

へそ曲がりだった若いころの私は、
一番好きな季節が冬だったし
海は夏には行かず、冬に見に行っていたっけ。


いまぐらいから2月にかけての南伊豆の海が大好きだ。
27歳のとき、取り立ての免許が嬉しくて、
旦那(当時の)の出張留守の週末の朝、
起き抜けの青空に、すべてを放り投げて、ひとりで車を走らせた。

20歳のころ、恋人(当時の)と眺めた2月の石廊崎の海が忘れられなくて
石廊崎まで行こうと思ったのだ。
 
東伊豆から海沿いに延々無計画に走り続けて
石廊崎で夕陽を見たけれど
ガス欠寸前。
たった一軒のGSでガスを入れたけど
体力を使い果たして帰れる自信がなくて
車に積んでたペンションガイドで南伊豆のペンションを探し
公衆電話(当時は携帯なんてないからね)から宿泊予約をし
飛び込みで泊まったんだ。


海の見える小さなそのペンション「ビートルズ」には
若い女の子2人連れが泊まっていて
夕食が相席になった。
 
話が盛り上がって
翌日 修善寺まで彼女たちを送りがてら、
西伊豆の景勝スポットを案内したっけ。
修善寺の町で「お礼に」といって蕎麦をごちそうになって、駅で見送った。
 

晴れ晴れした気分で家に戻ったら
出張から旦那が帰ってきていて
からっぽの家に憤怒してたっけね。
 


20歳のとき 恋人と行ったと書いたけど
それは風の強い冬の晴れた日だったのだ。
  
「こんな日はね ”うさぎのしっぽ”が見えるんだよ」

と彼は言った。

うさぎのしっぽ、っていうのは
強い風が海面にたてる、ちいさな波頭が一面広がる光景 


あれ以来  今の時期に
厳しく寒く 強い風の吹き荒れる ピーンと張り詰めた晴れた空をみるたび
南伊豆の海にひろがる「うさぎのしっぽ」 が 脳裏に浮かぶのです。 


「ああ いま あそこでは うさぎのしっぽが… 」
 



      自作詩と随想  目次


テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

霙(みぞれ)

雪になりきれぬ  ゆめの残り香
熾火のごとき 
熱の痛みを
 
 
神よ
どうぞ凍らせたまへ
 
 
 
 

 

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

愛は
自分が自分にかける呪い
全身に回る毒
自らを囚われ人にする
狂った呪文
 
 
それは
解くことの出来ぬ呪い
 

解毒には
長い 長い 時がかかる
甘美なる猛毒 
 

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

一寸の虫にも

老猫とみつめあう
 

たましいと たましいが
ひしと 抱きあうような
ひととき
 
きっと
たましいの大きさは
猫も 犬も 小鳥も
ひとも
みな おなじなのだ
 
 
たましいが眼に見えたら 
それは みな 同じように 
ぼうっと輝くまるい玉かしら
 

さみしい光の玉と玉が ふっとよりそう。

 
 
 
 


 

 



テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

黒猫

Author:黒猫
このブログはHPから詩の部分だけをまとめました。

10代の頃からこれらの詩はいつも自分の中にありました。
私の中にとけ込んだ詩人たちんの言葉と私自身のつたないことばだち。

八木重吉の「秋の瞳」序文ではありませんが、このつたない詩を読んでくれたあなた  私を心の友としてください。

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