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魚  ─別れるひとに─

私の猫は 暗い方をみつめている
いつも後ろ姿
私の描く女は みな眼を閉じている
どれも憂い顔
うつむき加減の こころ

私のワイングラスのふちは 
いつも溢れそう
風の吹くたび 漣 (さざなみ) が揺れる
冬の晴れた空の色を映して


グラスの底の水藻の中には古い魚が棲む
静かに眼を閉じ みじろぎもせず
ずっと永い間 そこに沈んでいるのだ
ひっそりと
私が まだ 少女だったころから ────



水藻は年々生い繁り
もはや 魚の姿を すっぽりと包んでしまったが
魚はときおり身をかすかにゆするので
グラスのふちから 溢れそうになるのだ

痛い 痛い 沁みるような水滴が ────





27歳のとき。最初の離婚。
別れたのは私からだった。その彼も49歳という若さで亡くなったらしく、
もうこの世にいない。儚さを感じる。

テーマ :
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

黒猫

Author:黒猫
このブログはHPから詩の部分だけをまとめました。

10代の頃からこれらの詩はいつも自分の中にありました。
私の中にとけ込んだ詩人たちんの言葉と私自身のつたないことばだち。

八木重吉の「秋の瞳」序文ではありませんが、このつたない詩を読んでくれたあなた  私を心の友としてください。

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