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昨日はどこにもありません<三好達治>

昨日はどこにもありません

あちらの箪笥のひき出しにも

こちらの机の引き出しにも

昨日はどこにもありません




それは昨日の写真でしょうか

そこにあなたの立っている

そこにあなたの笑っている

それは昨日の写真でしょうか




いいえ

昨日はありません




今日を打つのは今日の時計

昨日の時計はありません

今日を打つのは今日の時計




昨日はどこにもありません

昨日の部屋はありません

それは今日の窓掛けです

それは今日のスリッパです




今日悲しいのは今日のこと

昨日のことではありません

昨日はどこにもありません

今日悲しいのは今日のこと




いいえ悲しくはありません

何で悲しいものでしょう

昨日はどこにもありません

何が悲しいものですか




昨日はどこにもありません

そこにあなたの立っていた

そこにあなたの笑っていた




昨日はどこにもありません
 






長田弘の「猫に未来はない」をふと連想する。
 
そう。過去などないのと同じ。
そして過去に近いも遠いもなく
それは ただのモニュメント…
 
「過去」となったものには、もはや私の心を動かす力はない
(2011/8/22)





 

テーマ :
ジャンル : 小説・文学

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今日、この詩が読めて良かった。
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プロフィール

黒猫

Author:黒猫
このブログはHPから詩の部分だけをまとめました。

10代の頃からこれらの詩はいつも自分の中にありました。
私の中にとけ込んだ詩人たちんの言葉と私自身のつたないことばだち。

八木重吉の「秋の瞳」序文ではありませんが、このつたない詩を読んでくれたあなた  私を心の友としてください。

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