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黒いランドセル

昔々、その昔。

小学生になったとき、私は「黒いランドセル」を与えられた。
3つ年上の姉のときはピンクのランドセルだったのに。

母親の台詞を覚えている。

「男の子だから黒、
 女の子だから赤と決めるのはおかしい。」


だから私には黒いランドセル?

小学校へ通う途中で、学校の中で、
他人の好奇の視線を浴びながら
私は黒いランドセルで学校に通った記憶がある。 
別に 赤いランドセルが欲しかった、と
思ったわけでもないのであるが、
やはり、他人の視線の集中は負担だった。

授業参観の日。
私はランドセルのベルトを締めるのが
他の子供より少し遅かった。

その日、帰宅してから、それが早くできるようになるまで
何度も母親に「練習」させられたのだった。

その、「黒いランドセル」で。



今なら言えたのだが。

「男の子だから黒、
 女の子だから赤と決めるのは
 確かにおかしいかもしれない。

 でも、だからといって
女の子に 黒 を持たせれば解決するのか?

 それを言うのならば
小学生にはランドセル、と決めるのが
 そもそもオカシイ、ってことに
 何故 ならない?

 全然 論理的じゃないよ」

と。

しかし かなしいかな。
小学1年生の子供に、
そんな理屈をコトバにしてみせる芸当は
できなかった。

もやもやとした
納得できない感情を
内に秘めつつ
緊張しながら学校に通った
遠い日々。

母親のイデオロギーの実験台にさせられた
ある娘の話である。



2005年8月17日初稿





      自作詩と随想  目次

テーマ : エッセイ
ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

黒猫

Author:黒猫
このブログはHPから詩の部分だけをまとめました。

10代の頃からこれらの詩はいつも自分の中にありました。
私の中にとけ込んだ詩人たちんの言葉と私自身のつたないことばだち。

八木重吉の「秋の瞳」序文ではありませんが、このつたない詩を読んでくれたあなた  私を心の友としてください。

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