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かげろうの卵

ことば以前のなにか
ことばにした瞬間に変質するなにか
まるで 逃げ水のように

わたし
という地殻の深みで
苦しみがどんどん凝縮されつづければ
最後にそれは
ダイヤモンドに変じるか

いや
それは さながら
かげろうの卵
いのちと いのちの
ぎりぎりの攻防戦の果てに
産み落とした 一粒の卵
その卵が
偶然 おなじ空間に漂っていた誰かの
偶然 開かれていた回路に着床する

そのことによってだけ ようやく
わたしは誰かとつながることができる
 
となりにいる あのひとや
わたしが
あんなに愛した あのひとには
なにひとつ つながることができぬのに

なにもない夜空を見上げて
そのなかに流れ星をみつけたように
わたしの言葉が
見知らぬあなたの
心の部屋にとどきますように






(2011年7月)




テーマ :
ジャンル : 小説・文学

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黒猫

Author:黒猫
このブログはHPから詩の部分だけをまとめました。

10代の頃からこれらの詩はいつも自分の中にありました。
私の中にとけ込んだ詩人たちんの言葉と私自身のつたないことばだち。

八木重吉の「秋の瞳」序文ではありませんが、このつたない詩を読んでくれたあなた  私を心の友としてください。

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