月を追われた兎

月には かつて兎がいた
いまは もう いない

 
 
あれは 夢
この世のものではない幻
あれは なかったこと
あれは 池に映った 月
手に入らぬもの
 
  

月にとっては
あれは 寝覚めの悪い夢
思い出したくない醜い傷痕
 
 

「兎など 僕の中にはいなかった」
 
月がそうつぶやけば
兎はもう棲むことができない

 

遠ざかる足音
日暮れてゆく世界
かすんでゆく輪郭
融けてゆく雪
だんだん聞こえなくなる声


やがて闇と静けさが包み込む
寂しい終末。


テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

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黒猫

Author:黒猫
このブログはHPから詩の部分だけをまとめました。

10代の頃からこれらの詩はいつも自分の中にありました。
私の中にとけ込んだ詩人たちんの言葉と私自身のつたないことばだち。

八木重吉の「秋の瞳」序文ではありませんが、このつたない詩を読んでくれたあなた  私を心の友としてください。

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