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森の中で

深い森の中で
迷子になって 泣いている子供がいる
 
あれは私だ 
 
父も母もいない
最初から喪われている
  

 
同じ森の中で ある日
もうひとりの子供に出会う
もっと怯えて泣いている子供
貪ることしかできない
かわいそうな餓えた鬼
 
 
わたしはその子供を抱きしめる
まるで自分を抱きしめるように
抱きしめる
その子は私を貪り始める
 
血が流れ
痛みにのけぞりながら
それでも
私はその子を抱きしめる
 
なぜだか
そうしなくてはいけないような気がして



(2010年)


テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

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黒猫

Author:黒猫
このブログはHPから詩の部分だけをまとめました。

10代の頃からこれらの詩はいつも自分の中にありました。
私の中にとけ込んだ詩人たちんの言葉と私自身のつたないことばだち。

八木重吉の「秋の瞳」序文ではありませんが、このつたない詩を読んでくれたあなた  私を心の友としてください。

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