ひとりの友に <高野喜久雄>

「何も無い」と言うな
岩の中には 一羽の鳥がいる
眼をくりぬかれ
なおもその眼を探し飛ぶ一羽の鳥が
 
 
しかし 友よ
何故かと  問わない方がよい
何故 岩の中に空は在るのか
探した眼は 何故無かったか
問うことは苦しくて
問うことは過つのみである
 
 
ただ 残された
ぎりぎりの道を行き
岩にぶつかり この鳥を見る
ほかはなかったぼくたちの眼だ
だがやはり
深く刳(えぐ)られてもいたぼくたちの眼
 
 
 
 
                    高野喜久雄詩集「二重の行為」より 
 
 
 

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ジャンル : 小説・文学

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黒猫

Author:黒猫
このブログはHPから詩の部分だけをまとめました。

10代の頃からこれらの詩はいつも自分の中にありました。
私の中にとけ込んだ詩人たちんの言葉と私自身のつたないことばだち。

八木重吉の「秋の瞳」序文ではありませんが、このつたない詩を読んでくれたあなた  私を心の友としてください。

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