街 (中江俊夫)

ここに街がある
だが わかっているものはなにもない
私はふり返って見なければならない
人がたっているかもしれないから
私はときどき目をつぶる
すると そのまま夜になってしまって
突然 ひろい海岸に出たりする


そこでは星もなく
水もなく 魚もいない 死んでしまって
そして私自身 ひょっとしたら
いないかもしれない
誰かが 私たち人間のことを
おしえたようだ
(君らなんか ずっとさきに)


ここに家並みがある
私が歩いてゆくのだ
私はなにを求めているのか いま
私はなにを失ったのか いつ――
(私の内に 街がある
 独りの
 別の 街がある)


                  詩集<魚のなかの時間>から

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ジャンル : 小説・文学

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今日は、この詩を選んだ。この人の詩を味わうのは初めてです。もっと他のも眺めてみます。ありがとう。
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黒猫

Author:黒猫
このブログはHPから詩の部分だけをまとめました。

10代の頃からこれらの詩はいつも自分の中にありました。
私の中にとけ込んだ詩人たちんの言葉と私自身のつたないことばだち。

八木重吉の「秋の瞳」序文ではありませんが、このつたない詩を読んでくれたあなた  私を心の友としてください。

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