夕暮れ (黒田三郎)

夕暮れの街で
僕は見る
自分の場所からはみ出てしまった
多くのひとびとを


夕暮れのビヤホールで
彼はひとり
一杯のジョッキをまえに
斜めに座る


彼の目が
この世の誰とも交わらない
彼は自分の場所をえらぶ
そうやってたかだか三十分か一時間


夕暮れのパチンコ屋で
彼はひとり
流行歌と騒音の中で
半身になって立つ


彼の目が
鉄のタマだけ見ておればよい
ひとつの場所を彼はえらぶ
そうやてったかだか三十分か一時間


人生の夕暮れが
その日の夕暮れと
かさなる
ほんのひととき


自分の場所からはみ出てしまった
ひとびとが
そこでようやく
彼の場所を見つけ出す



                  黒田三郎

テーマ :
ジャンル : 小説・文学

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黒猫

Author:黒猫
このブログはHPから詩の部分だけをまとめました。

10代の頃からこれらの詩はいつも自分の中にありました。
私の中にとけ込んだ詩人たちんの言葉と私自身のつたないことばだち。

八木重吉の「秋の瞳」序文ではありませんが、このつたない詩を読んでくれたあなた  私を心の友としてください。

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