未来の仔犬 <谷川俊太郎>

ぼくを愛してくれる未来の仔犬が
岬の一軒家のテラスでしっぽをふっている
あいつに会える日がくるまで
ぼくはまいにち日記を書き続ける


ある日は森のトチの木のことを
ある日はこむらがえりになった脚のことを
またある日は美しいみなしごのことを
そしてぼくは少しずつ大きくなる


昨日ひとりで行ったプラネタリウムで
三万年前の星空を見た
ぼくの頭の上でそれはゆっくり回っていた
どうしてか涙が出てきた


ぼくがいなくなってしまう日にも
星はちゃんと輝いていて
もしかするとぼくの未来の仔犬は
ぼくのかたわらにいる



                   谷川俊太郎詩集「私」 思潮社

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ジャンル : 小説・文学

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黒猫

Author:黒猫
このブログはHPから詩の部分だけをまとめました。

10代の頃からこれらの詩はいつも自分の中にありました。
私の中にとけ込んだ詩人たちんの言葉と私自身のつたないことばだち。

八木重吉の「秋の瞳」序文ではありませんが、このつたない詩を読んでくれたあなた  私を心の友としてください。

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