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残酷なけもの

アクセルとブレーキを同時に踏み続ける
こわばる身体のなか 
吐き出せない塊はみるみるうちに
溢れ 暴れ
わたしに突き刺さる鋼鉄の長い棘となる
 
身動き取れぬ
強靱な檻に押し込められた心臓
私はこの残酷なけものを
飼い慣らさなければならぬ
   

棘が矢のように私に降り注ぐ中
逃げることもできず
プロメテウスのように
心だけが
えぐられてゆく



(2010年)


テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

あなたが求めるものが

あなたが求めるものが 美しい花ならば
わたしは花になろうと思った
あなたが求めるものが やわらかな鳥の羽ならば
やさしい羽毛となって包もうと思った
あなたが望むものが一杯の酒ならば
今宵あなたに呑まれて雫と消えようと思った
 
そうすればあなたに愛されるというなら
あなたの望む何にでも姿を変えよう
わたしの望むものは たったひとつ

それでいい、と思っていた
それでいいのだ、と
でも


花ではなく
羽毛ではなく
一杯の酒でもないわたし
居場所を見失ったわたしは問う

あなたの心の中にある私は どんなわたし?



(2010年)

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

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黒猫

Author:黒猫
このブログはHPから詩の部分だけをまとめました。

10代の頃からこれらの詩はいつも自分の中にありました。
私の中にとけ込んだ詩人たちんの言葉と私自身のつたないことばだち。

八木重吉の「秋の瞳」序文ではありませんが、このつたない詩を読んでくれたあなた  私を心の友としてください。

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