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冬はいつも


冬はいつも
誰かに 心をかきみだされていたね。
この凛とした空気がそうさせる。


今も また。


想像の中で 
音に恋し 
イメージに恋し
ちくっと 時々 切なくて


それでいいわ。
現身(うつしみ)でなくて いい。


音に 魂に
焦がれます


薄汚れたものたちからは 
遠ざかって
天上にある 
あの 美しいものたちに恋焦がれて
残りの生を 歩いていこう

 
 
永遠に手が届かなくとも。
 
 
 
                  <2010年冬>
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ジャンル : 小説・文学

時 <谷川俊太郎>

 あなたは二匹の
 うずくまる猫を憶えていて
 私はすり減った石の
 階段を憶えている


 もう決して戻ってこないという
 その事でその日は永遠へ近づき
 それが私たちを傷つける
 夢よりももっととらえ難い一日


 その日と同じように今日
 雲が動き陽がかげる
 どんなに愛しても
 足りなかった




              ~詩集「手紙」より~



 

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生命は <吉野弘>

生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする


生命はすべて
その中に欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ


私は今日、
どこかの花のための
虻(あぶ)だったかもしれない
そして明日は
誰かが
私という花のための
虻であるかもしれない


 
 
 
 
 

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父 <吉野弘>

何故 生まれねばならなかったか。


子供が それを父に問うことをせず
ひとり耐えつづけている間
父は きびしく無視されるだろう。
そうして 父は
耐えねばならないだろう。


子供が 彼の生を引受けようと
決意するときも なお
父は やさしく避けられているだろう。
父は そうして
やさしさにも耐えねばならないだろう

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奈々子に <吉野弘>

赤い林檎の頬をして
眠っている奈々子。

お前のお母さんの頬の赤さは
そくっり
奈々子の頬にいってしまって
ひところのお母さんの
つややかな頬は少し青ざめた
お父さんにも ちょっと
酸っぱい思いがふえた。

唐突だが
奈々子
お父さんは お前に
多くを期待しないだろう。
ひとが
ほかからの期待に応えようとして
どんなに
自分を駄目にしてしまうか
お父さんは はっきり
知ってしまったから。



お父さんが
お前にあげたいものは
健康と
自分を愛する心だ。


ひとが
ひとでなくなるのは
自分を愛することをやめるときだ。


自分を愛することをやめるとき
ひとは
他人を愛することをやめ
世界を見失ってしまう。


自分があるとき
他人があり
世界がある


お父さんにも
お母さんにも
酸っぱい苦労がふえた


苦労は
今は
お前にあげられない。


お前にあげたいものは。
香りのよい健康と
かちとるにむづかしく
はぐくむにむづかしい
自分を愛する心だ。

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石になりたくなる

何も感じない石になってしまいたくなる
 
 
誰にも接続せず
どこからも自分を切り離して
厳しく 閉じて
閉じて
閉じて
なにもかもを内部に閉じ込めたくなる
 
 
誰かに働きかければ
応えてほしくなる
それは 飢餓の種を 自ら撒くこと
時限爆弾をしかけて
刻々と渇いてゆくこと 

  

どうして
私の水門は 壊れてしまったのかしら
いつから 壊れてしまったのかしら


これでは 不思議な石臼のように
そのうち 海の底に沈んで 
浮かび上がれなくなってしまうじゃない
 
止めなきゃ
止めなきゃ
止めなきゃ!
 


黙ってれば ばれないのに
だまってれば 
愛されたかもしれないのに

物欲しげな自意識を 
うっかり晒しては
いけないのに
 
 
 
わたしは 想いが先走って膨張して
ぬり絵が上手にできない子供のように
どんどん自分が枠から はみだしちゃって
ぐちゃぐちゃに なってしまうみたい。 
 
 
 
 
ぐっとこらえて持ちこたえれば
その思いは いつか美しい真珠になる
だから 

こらえろ、こらえろ、自分。


                          <2010>

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鳥  <谷川俊太郎>

鳥は空を名づけない
鳥は空を飛ぶだけだ
鳥は虫を名づけない
鳥は虫を食べるだけだ
鳥は愛を名づけない
鳥はただふたりで生きてゆくだけだ


鳥は歌うことを知っている
そのため鳥は世界に気づかない
不意に銃声がする
小さな鉛のかたまりが鳥を世界からひき離し鳥を人に結びつける
そして人の大きな嘘は鳥の中でつつましい真実になる
人は一瞬鳥を信じる
だがその時にさえ人は空を信じない
そのため人は鳥と空と自らを結ぶ大きな嘘を知らない
人はいつも無知に残されて
やがて死の中で空のために鳥にされる
やっと大きな嘘を知り やっとその嘘の真実なのに気づく



鳥は生を名づけない
鳥はただ動いているだけだ
鳥は死を名づけない
鳥は動かなくなるだけだ

空はいつまでもひろがっているだけだ



10代の頃に出会って 心に刻まれた、この詩。
 

だけど アンビバレンスのかたまりのような わたくしは
鳥のように 生きることは できていない

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黒猫

Author:黒猫
このブログはHPから詩の部分だけをまとめました。

10代の頃からこれらの詩はいつも自分の中にありました。
私の中にとけ込んだ詩人たちんの言葉と私自身のつたないことばだち。

八木重吉の「秋の瞳」序文ではありませんが、このつたない詩を読んでくれたあなた  私を心の友としてください。

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