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★詩の目次



 
■自分の詩の目次
自作詩の一覧


 
■随想集
蜘蛛の巣
理屈っぽい小学生
太陽の「白」
私は石になりたい
黒いランドセル
「鎮魂歌」~木原孝一さんのこと
根源的な渇き
潔い女(ひと)
「私たちは皆、無自覚に病んでいる」
かけがえのない、今
父よ。母よ。弟よ。
冬の海
「つながる」
猫。
人生は1本の蝋燭だ。
喪失
マッチ売りの少女
WE(僕たち)ではなくて I(私は)
星よりも遠く
病床に母を見舞う
虚無感
無神経で無知なるものたち







 
■好きな本から その他
白いロケットがおりた街
「星の王子さま」
泣いた赤おに
あたしが娼婦になったら<ある17歳の詩>
(マザー・テレサのコトバより)

 

 
 
■高野 喜久雄
下さい
あなたに
椋鳥は
ひとりの友に
深海魚

独楽
くちなし
日々
噴き上げ
椋鳥は
折鶴


弦(いと)
枇杷の実

たぶんわたしは
あなたに
崖くずれ
愛するとは



 
■黒田 三郎
苦業
洗濯
九月の風
時代の囚人(抜粋)
ああ
夜の窓
夕焼け
夕暮れ
夕方の三十分
紙風船
ただ過ぎ去るため
引き裂かれたもの
僕はまるでちがって
もはやそれ以上
出発
ある日ある時
そこにひとつの席が

 
■谷川 俊太郎
三月のうた
信じる
生きる
かなしみ
死んだ男の残したものは
九月のうた
殺す
わたしの捧げかた
庭を見つめる


未来の仔犬
からだの中に
私が歌う理由(わけ)

空の嘘


 
■吉野 弘
日々を慰安が
生命は

奈々子に
みずすまし
祝婚歌
雪の日に
夕焼け
I was born

 
■長田 弘
「感受性の領分」より
「すべてきみに宛てた手紙」より
最初の質問
きみはねこの友だちですか
こんな静かな夜
渚を遠ざかってゆく人

 
■八木 重吉

ひかる人
草をむしる



「鞠とぶりきの独楽」より
素朴な琴
うつくしいもの
「秋の瞳」序文

 
■中江 俊夫

夕方
夜と魚

 
■宮沢 賢治
銀河鉄道の夜~さそりの話
よだかの星

 
■石垣りん

この世の中にある


 
■茨木 のり子
汲む
自分の感受性ぐらい


 
■新川 和江
わたしを束ねないで
ふゆのさくら

 
■田村 隆一
帰途

 
■木原 孝一
鎮魂歌


 
■中原 中也
月夜の浜辺

春日狂想(抜粋)
汚れっちまった悲しみに
湖上
サーカス

 
■室生 犀星
木の椅子

 
■三好 達治

昨日はどこにもありません
鴎(かもめ)


 
■高村 光太郎
ぼろぼろな駝鳥
死ねば

 
■永瀬 清子
だまして下さい言葉やさしく
あけがたにくる人よ
若さ かなしさ


 
■金子みすゞ
雀のかあさんく

 
■立原道造
枯木と風の歌
のちの思ひに
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自作詩 <目 次>

100  恋は
    恋は/ さながら悪い夢…
99  
    胸に 鉛のかたまり/ 私を押しつぶそうと…
98  亡霊
    あなたは消えた/わたしは消えた…
97  虚空
    誰もいない/なにもかも 寂しい…
96  わたしを生かすもの
    色んな人との約束があるから/日々を生きている…
95  コトバなど
    言葉は私と誰かを繋がない。/言葉はひとと私を隔てる…
94  さくら
    今日もまた/部屋に満ちる/薄めた鉛のような時間…
93  ひとり。
    古びた写真の中の笑顔/私はもうそこには居ない…
92  Happy Birthday
    求め続ける心を/隠しながら…
91  亡霊
    固く抱きあい/ひととき儚い夢を見た私達…
90  止まらぬ音
    かたちあるものならば/手で触れ/鍵をかけて…

89  刻印
    なぜ 今さら私は泣くのだ/心に刻まれた刻印…

88  
    話していた時は気にも止めなかった言葉が/ずっとあとで…
87  蜘蛛の巣
    緻密に張られた蜘蛛の糸が/無造作に壊される…
86  逝く
    消えかかった蝋燭の、弱々しい炎。/あるいは、…
85  憧憬
    静かに頭のなかに響く音に耐える/1耳をふさいでも塞いでも…
84  貝殻
    100度書いて/100度消す…
83  私の棺に
    3月に死んだら棺に沈丁花を/…
82  ゆふぐれ
    秋は その空気に/すでに 冬を孕む/…
81  
    伝えたかったものは/何だったのか/…
80  
    秋のよく晴れた朝/冬に向かう太陽/夏に向かう太陽…
79  暗闇
    薄明かりの中/離れてベットに横になると/…
78  呪い
    行かないで/私の手を離さないで/…

77  
    私は あなたに呪いをかけた/あなたの心がどこにも行けないように
76  fiction
    みてくれほどに あたたかいわけではない/…
75  音楽
    あなたは求めてやまぬ神/…
74  霙(みぞれ)
    雪になりきれぬ/ゆめの残り香…

73  
    愛は/自分が自分にかける呪い/…
72  一寸の虫にも
    老猫とみつめあう/たましいと たましいが…
71  
    あの夜/激しい雪の向こうに立っていたのは/…
70  9月
    美しい秋が来る/…
69  黄泉坂
    刻々と日々が過ぎてゆく/目眩がするような/…
68  蜻蛉
    たしかに/それは…
67  言霊
    その心の狂おしい動きに/軽々しく名前をつけるな…
66  かげろうの卵
    ことば以前のなにか/ことばにした瞬間に…
65  荒野
    信じていたものすべてが/汚れきってしまったとき…
64  楽器
    チェロはね 中身が空洞だから/きれいに響くんだよ…
63  無力な音
    寂しいから 弾く/弾くと 寂しくなる…
62  ねこになりたい
    猫になりたい/鳥になりたい…
61  春宵
    薄闇の中 /ほの白く浮き上がる満開の桜の下を…
60  弾く
    弾けば/千の針が心に刺さる…
59  暮れゆく春の庭で
    知っていた/それが 嘘でも 輝いていた…

57  かなしみ
    薄いグラス一杯に張られた水の表面だ/…
56  プロメテウスの火
    歌うたび/喪ったものにえぐられる…
55  月を追われた兎
    月には かつて兎がいた/いまは もう いない…
54  私の想いを
    私の想いを/一匹の猫にたとえたら…
53  空っぽの椅子と  (2011)
    ひっそりと/私の「現実(うつつ)」の中には いつも…
52  宝箱
    何を守ろうとしている? /「宝箱よ」…
51  音楽
    眠れぬ日々の夢とうつつに/目眩の中で弾くBACH…
50  秋の別れ
    秋が来るたびに私は哭くだろう/…
49  渇く
    まるで海水のように/飲めば飲むほど…
48  からだを通して
    からだを通して/愛は執着にかわり…
47  残酷な獣
    アクセルとブレーキを同時に踏み続ける/…
46  あなたが求めるものが
    あなたが求めるものが 美しい花ならば/わたしは花になろう…
45  
    文字にはできない/岩のような 想い…
44  深海魚のように
    すべての扉を閉じて/静かに…
43  あおおに。
    「泣いた赤鬼」の中の「青鬼」のように/…
42  森の中で
    深い森の中で/迷子になって 泣いている子供…
41  こころは
    こころは/見えない檻のなかに…
40  孵らぬ卵
    孵りもしない卵を抱いて/…
39  夜の海
    心は しばしば/私の予想を裏切る…
38  猫は
    なにも定義しない/ただ ただ…
37  わたしは  
    わたしは一冊の本/わたしは一遍の音楽…
36    
    わたしの弦と/共鳴しあう弦を持った…
35  逃げ水
    悲しみ…/いったい何の悲しみ?…
34  私がほしいものは (2010)
    私がほしいものは/…
33  春の夜のひとりごと (2010)
    あなたの幸せで心に灯がともること/…
32   (2010)→★改訂 2011/4
    私は 私の森の中に隠れる /…
31  閉め出された子供 (2010)
    扉の中に入りたいけれど/鼻先で 扉は閉まる…
30  冬はいつも     (2010)
    冬はいつも/誰かに…
29  石になりたくなる (2010)
    何も感じない石になってしまいたくなる/…
28  ムジカ       (2010)
    寝ても覚めても/頭の中を占拠している…
27  考える        (2007)
    私はなにに希望をつないでいる?/…
26  喪失        (2007)
    人、とだろうが/猫、とだろうが…
25  不思議な石臼    (2004)
    私の心は/停まらなくなった石臼…
24  虚空        (2003)
    私の心は 中空でとまったまま/…
23  意味        (2003)
    私が知りたかったのは「意味」/…
22  失われてゆくもの  (2001)
    失われてゆくもの/それは/鏡の中の私…
21  冬枯れ       (2001)
    孤独は/静かに 心をむしばんでゆく…
20  無題  
    いろいろなことのあった 十九のわたし/…
19  抱擁  
    恋しい人との抱擁/それは いつも…
18  きんもくせい   (Aged 30)
    ああ/そうか/この 香り…
17  無題       (Aged 29)
    桜の花 や 梅の香 /くちなしや 沈丁花…
16  恋        (Aged 29)
    人生 という/長い夢の中で…
15  魚─別れるひとに─    (Aged 27)
    私の猫はいつも暗い方をみつめている/…
14  月と魚──恋しいひとに─ (Aged 27)
    わたしは 深い夜の海に棲む魚/…
13              (Aged 24)
    朝一番に/ブリキの洗面器に張った水のような…
12  無題~カタツムリ     (Aged 22)
    聞きたくもないのに 一方的に/…
11  ガラス玉         (Aged 22)
    まるい ガラス玉はうつくしい/完全で…
10       (Aged 20)
    それなのに あなたは/コトバを手放そうとはしなかった…
9  扉     (Aged 19)
    おそるおそる/そちらを向いてみる…
8  別れ    (Aged 19)
    日が暮れて/鳥が飛んで…
7       (Aged 17)
    扉をあけると/そこは 雑踏…
6       (Aged 17)
    海は 風と一緒になりたくて/荒れ狂う…
5  夕暮    (Aged 17)
    からだの中に うずまく/ことばたち…
4  薄暮    (Aged 16)
    何も云ってくれないから/わたしは いつも おきざり

3  無題    (Aged 16)
    なにも見ない眼と/なにも云わない口と…
2  無題    (Aged 16)
    心よ凍てつけ/こおってしまえ…
1  黄昏   (Aged 15)
    夕暮れ時/いつのまにか一羽の鳥になって…

  


  

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花束

春の庭の花に胸をときめかせながら
花束を作った
逢うことのない あのひとに向けて


あのひとは
なぜ 摘むのかと いぶかしがる
「庭で咲かせておけばよいのに・・・・」


私の春の庭の美しさを
ひとつの花束に凝縮して
あのひとに 伝えたい
ことばにならない私の想い


そこに在るだけで美しいもので充分なら
音楽家も作曲家も画家もいらぬ
鳥の声や 風の音
ただ 皆 あるがままに聴けばいい


表現
とは
在るがまま では満たされぬものの所業だ。
そこに 己 を媒介させずにおられぬ
不完全な生き物の業


私は 花を摘む
ただ「在る」だけでいられぬから

今日も花束をつくる
誰かに伝えねばいられぬから



春の庭2015






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恋は

恋は
さながら悪い夢
 
薬物中毒患者のように
待ち焦がれたわずかな時間と引き換えに
他のすべての時間を失い
みずから囚われ人となる
 
愚かな愚かな悪夢

それなのに
その悪夢の中に居る時が
一番 凝縮した生を燃焼しているとは
どういう冗談、
どういうあやかしだ。





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2010年 秋


 

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胸に 鉛のかたまり
私を押しつぶそうと
常にのしかかる
重苦しいなにか
 

声にならない叫びに
胸が焼け付き
息もできぬ
 

   
   自分の命が重荷になり
   「募金箱」を探してみたが
   あいにくと 
   そんなものは 見つからぬ
 

 
 

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亡霊

あなたは消えた
わたしは消えた
あなたの心のなかのわたし
わたしの心のなかのあなた
森には誰もいない
視界をよぎるのはあれは心が生み出した幻の残像


もう 風も吹かぬ
誰も知らない誰も訪れぬ 
黒い黒い深い森で
古代の壁画のように遺された文字は
もう何も語らない
森には誰もいない


たくさんいた小鳥たちの
最後の一羽が死んで
訪れるものももういない
ときおり 古(いにしへ)の夢が残したやまびこが
風と共に こだまするだけ




永遠に取り戻せぬ
失った未来



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Autumnl 2014


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白昼夢

意思を持って強く念じれば 
夢も本当になる
と信じた私と
夢は夢として 誰にも邪魔されず 
ただ  夢見続けたかっただけの
アノヒトと



アノヒトの夢に 私の夢がある日迷い込んだ
一緒に夢を見た
きつく抱き合った
誓い合った
だけどアノヒトだけが 生き残った
最初から自分は死ぬ気のなかった
心中の片割れとして


夏の昼下がりの陽炎のような
美しい言葉と
ありふれた悲喜劇


真っ暗な 棺のような
音の無い森で
目覚めた私
  






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Autumnl 2014


テーマ : 自作詩
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虚空

誰もいない
なにもかも 寂しい
ひとりきりだ
誰もいない
ひとりきりでいつまでもバッハを弾く
早く帰りたい
(どこへ)


八方ふさがりで 壁の向こうに虚空が広がる
星もない黒い宇宙だ
早く終わらせたい
さよなら
さよなら
さよなら、自分
さよなら あなた
さよなら 世界
 
たまりつづける音にならぬ 声




テーマ : 自作詩
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わたしを生かすもの

色んな人との約束があるから
日々を生きている
約束を果たさなければいけないから
そこまでは進む

約束がひとつもなくなれば解放されるだろう
あるいは 約束を守らないことにすれば。


でも約束は神聖なもの
それが私を縛り
次の約束まで歩かせる


それが 私を生かすもの
唯一の





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April 2014

テーマ : 自作詩
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コトバなど

言葉は私と誰かを繋がない。

言葉はひとと私を隔てる役にしかたたない。

言葉は方程式ではなく不完全な道具だ。

コトバは

人と人とを遠ざける誤解のかたまり。

間違えて 傷つけるばかりで
 
ひとつも心を伝えてくれない



もう私は黙っていよう。

詩の言葉だけにしよう

もう猫のように言葉なく生きよう

コトバ コソ ガ ショアク ノ コンゲン




何もかも棄てたい。

猫と樹々を眺め、深く思う



桜と猫
桜と猫 posted by (C)Guillaume





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April 2014

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さくら

今日もまた

部屋に満ちる

薄めた鉛のような時間




私の椅子はたぶん

あの世のさくらの樹の下に

どこまでも白い桜の闇のなか

ぽつんと置かれているのだ




うつし世に所在なく 

立ち尽く私の上に



はらはらと

花びらの雪が舞う

悲しみだけ積もってゆく








桜



hanabira






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Happy Birthday

求め続ける心を
隠しながら
また、この日を迎えました。
 

待ち人、来たらず。
マダム・バタフライは
皆に憐れまれ、笑われても
幸福だったのでしょうか


待っているうちに何を待っていたかも忘れ、
待っているつもりはもうなくなってしまったのに
なんでだかその場所に座っている



わたしは あなたの言葉を受け取るだけのために、
遠い空に舞う風です

雲


   
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ひとり。

古びた写真の中の笑顔

私はもうそこには居ない

天女の羽衣のような朱鷺色の雲

煙のように私は

空へ上ってゆけるのかどうか





やがて暮れた凍える夜

満天の星空を見上げ

自分のための星が何処にあるのかも分からないまま

立ちすくむ




140216夕空2





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亡霊


     ひとつになろう ひとつになろう 
     と どんなにそれを願っても
     ひとつになれない 淋しい種子が
     思いあまって きつく抱きあい
     互いに同じ夢を見た
     その夢が果肉の部分
     ひとよ
     ひとよ
     だからもう 薄い果肉と
     なじるのは止せ
     その夢の味 たたえたあとは
     その種子をまた 寄せて埋めよう

        枇杷の実<高野喜久雄>





固く抱きあい
ひととき儚い夢を見た私達
 

賭けに負けた人魚のように
すべてをもぎとられ
  
  

めくるめく深い森の中で 
「あのひと」の影と私は
いつまでも奏で続ける
   
 
食べることも忘れ
老いたことも忘れ


麻薬のようでもあり
媚薬のようでもあり
触れることもできぬ
 


音楽の森の中で 
道に迷い
魂を抜かれた

  
 
孤独な音は
誰もいない森の中で 
こだまのように重なりあう
  

もう変わることのない
過去のやさしさの中
人知れず続く
天上の音楽

 
 
それはまるで
終わることのない負債

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止まらぬ音

かたちあるものならば
手で触れ
鍵をかけて閉じ込めることもできようが



眩暈のような絶望感


ちりちりと焦げるような渇き
拠り所のない身もだえ
どこまでも
どこまでも
虚空に腕を伸ばし続け。



見えたと思えば 幻
真夏の陽炎
あるいは
するりと消える逃げ水




触れることすら出来ぬ切なさ


 

虚空に耳を凝らす



心のようにとらえどころがない、
だけど希求して止まぬ何か。

  聖なる美しいもの。


千の針に貫かれた私の身体の中から
出たがっているこの歌



私のものにしたい音楽
私のものにはならぬ音楽



想いは何度遠ざけても
眩暈のするようなその中心に向かって
らせん状に落下してゆくのです


私の意識に君臨し続ける
あの音楽


苦しい。



この音を誰か止めてほしい。








燃える夕景



   
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刻印

なぜ 今さら私は泣くのだ
心に刻まれた刻印


一度彫ったら 一生消せぬ刺青のように
ヒリヒリする空虚な言葉
まるで醜い傷跡のような。



バッハは自分のための音楽だ
そう言った
モルゲンが好きだと言った
あの涙のでるほど美しい旋律を


私は
私の傷痕を燃やし尽くさねばならぬ
誰にも知らせることなく


わたしは、あの物語の
「おさかな」だ
夢の中で誰かが私に会いに来るといったから
待ってしまったけれど
とうとう待つのをやめて
泳ぎ去った、おさかな


あの部屋は 空っぽの海
片付けず
鍵もかけず
サンダルばきで出掛けたまま
帰らぬ主 それが私


さよならという言葉すら置き去りに
私は ただ
パタンと本を閉じた
分厚い本を



開けたままの窓から時折吹く風が
ページをめくるけれど
もう
どこまで読んだのか
物語が終わったのかすら
誰にもわからない



もうすぐ 痛みの秋が来る


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話していた時は気にも止めなかった言葉が

ずっとあとで

心のあちこちにひっかかっていて

大泣きしてしまう

波打ち際で波が退いた後に残る

尖った貝殻みたく それは

いつの間にやら突き刺り

私を痛めつける

  




何本もの棘

 

喪ったものを 思い知らせる 棘たち
 





   
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蜘蛛の巣

緻密に張られた蜘蛛の糸が
無造作に壊される
ひとふりで 払いのけられる脆い存在。


渾身の力で
身を削って吐き出した糸で編まれた作品が
いとも簡単に。


だけど かまわず
彼はまた営々と作り直すだろう

人間のように悲しむこともせず
黙々と
ただちにまた
「現実」を綴り始めるだろう


彼の世界
彼の棲家
彼の日常。


何度払われても
何度否定されても
その意味など考えず。


いつか主の消えた巣だけが残される日まで

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ジャンル : 小説・文学

逝く

消えかかった蝋燭の、弱々しい炎。
あるいは、
ひと揺れで落下しそうな
線香花火の小さな火の玉。
  

触れてはだめ。
触れたらきっと消えてしまう。

 
  
大事に大事に
揺らさないように そっとかかげて
手のひらで守る。
  
これ以上汚れないように。
これ以上歪まないように。


わたしは言葉を手放す。
 

言葉は
流れ出る 血。
  

深い深い喪失感にもだえながら 
その貧血感に目眩しながら
言葉にしがみつく指を振り払え
血にまみれた着衣を
するりと脱ぎ捨てよ
  
 
横顔
後ろ姿
残り香だけの私に
ついには私の影(音楽)だけになれ。


遺骨も
遺髪も手にせず


言葉を棄て
美しく官能的な
あの音楽にひとり抱かれながら
私は逝こう
 
よたかのように
私は消えてゆこう


  
あの黒い宇宙の闇へ
 



月と金星と木星

 

   
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  ------- Feb 2013


テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

憧憬

静かに頭のなかに響く音に耐える
 
耳をふさいでも塞いでも
それは鳴り続ける

美しい音
官能的な音  


誰もいない暗闇で
この音と添い遂げることが
私に許された唯一なのだろうか
 


いいえ もう
いっそ
この音を消し去りたい
私の心を囚える この悩ましい音を
  
決して手に入ることのない
この音を
 
   
狂おしいほど愛しい この音を




   
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 雪

  
  ------- Feb 2013




テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

貝殻

100度書いて
100度消す
伝えずにいられぬもの
 

文字ではない
言葉でもない
   

波打ち際で 
何度 砂をかぶれども
流されぬ美しい貝殻のように
心に留まるもの
  

 
からっぽの部屋で
目を閉じて
痛みに耐え続け
耐え切れずに
楽器が歌い出す
   


   
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海
 
  
  ------- Jan 2013


   

テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

私の棺に

3月に死んだら棺に沈丁花を
6月に死んだらクチナシを
10月に死んだら金木犀を入れてください
 
1月に死んだら雪うさぎ
あの降りしきる雪の恐ろしい夜を忘れたい
  
2月なら紅梅を一枝
4月は、あなたの名残の花桃を棺いっぱいに
  
7月に死んだら 濃い影を
  
あなたと夢を重ねた8月に死んだら
熾火の灰を一握り
あの音楽を奏でてください
  
あなたを失った11月に死んだなら
あのモミジバフウの紅と
イチョウの葉を敷き詰めて
   
  
そしてどうぞ
最後に
空っぽのあの緑の箱を
もう思い出すら入っていない
あの箱を入れてください


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モミジバフウ



テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

ゆふぐれ

秋は その空気に 
すでに 冬を孕む
生が予め 死を孕むかの如く 
  
あこがれと
さみしさと
かなしみと
痛みの一杯に詰まった胸の中が
こぼれないように
そっと大事に抱えて
他人だらけの満員電車に乗る
  

やがて暮れては
凍りつく藍色の夜空に
冷たく輝くのはオリオン座
 
わたしは
この胸を抱えて
どこまで乗ってゆこう
 


夕景



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----Nov 2012



テーマ : 自作詩
ジャンル : 小説・文学

伝えたかったものは
何だったのか
あなたに 伝えたものは
伝えたかったものだったのか


何も映さぬ鏡に 毎日 問いかける
 
「あなたは どこ?」
 
あなたが受け取ったのは
なんだったのか
わたしは なにを 投げつけたのか

曇った鏡に 問いかける

「わたしは どこ?」
 

ああ もう 日が暮れる
鏡に 夕焼けだけを映して

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----Oct,29 2012

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秋のよく晴れた朝
冬に向かう太陽
夏に向かう太陽
似ているようでいて
春と秋は遠く隔たる


  死の闇に向かう太陽
  生の輝きに向かう太陽 
 

1年前 いた猫が 今はいない
2年前 いたひとが 今は遠い彼方

(ねえ
 わたしも
 あなたも
 2年分 死に近づいたね)
 
こうやって みな
終末に向かって
静かに歩いてゆく
 

金木犀のかぐわしき香り
終わりへの粛々たる行進
 
 



 
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----Oct 2012
 

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25才の自分の写真は大事でも
そのとき愛してた男の写真は
まるで知らない他人
 

手に入らぬダイヤモンドより
手に入る銅で我慢しろと
耳元で囁く神がいる
 

滅びの前の美しすぎる1日の輝きが
宝石のように胸を締めつける
それはもう
無意味な古びた写真に過ぎないのか
 

「心動くうちは
 まだ命は続いているのだよ」
別の神がそう呟く
それがまるで
人工呼吸器に支えられた命であっても
 

消えぬ痛みすら愛おしい、と
痛みだけがあなたと私の絆となるだなどと
あの秋の日に誰が思ったろうか
  
 
 
 
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(2012.09)

 



   

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暗闇

薄明かりの中
離れてベットに横になると
黒猫が静かに寄ってくる
じっとみつめあう瞳の中に 素直にうかぶ愛情の色

腕を伸ばし あたたかい身体にに触れる

喉を鳴らす
私の手をやさしく舐める。
静かに私に寄り添う
ぬくもり、触感。
  
愛情が素直に伝わりあう
美しい時間
 
わたしは あなたといると 
そういう時間が持てた
あなたとだけ
 

暗闇の中にどこまでも侵食する
喪失感
 

猫とふたり
とりかえしのつかぬ闇の中に瞳を凝らす
 





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呪い

行かないで
私の手を離さないで
私をもう一度愛して
手の届かぬ彼方へゆかないで
置いていかないで
そうでないなら
いっそ 死んで。

 

 
  
===================(2012)

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私は あなたに呪いをかけた
あなたの心がどこにも行けないように
あなたの心に 迷いの種子を植えつけた
 
密かに
気づかれぬように
 
種子は知らぬうちに育ち
あなたの心を支配する
 

「わたしのものにならないのなら
内側から滅びておしまい」
 

そう 念じながらしかけた
密かな 密かな
情念の罠 
  

ああ
盲てぼろぼろになって彷徨うあなたの
コーデリアに私はなりたい
と 念じながら





 

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fiction

みてくれほどに あたたかいわけではない 
誰もが閉じていて 誰もがひとりひとり
誰とも本当はつながってなどいない


「つながり」など便宜上のもの
すべてが虚構
すべては
作り笑いと社交辞令にすぎぬ
 


かなしみ
さみしさ
わけがわからぬ胸の痛み
 

だれもいない
どこにもいけない
すべては仮のたたずまい
 

声にならぬ声が
ふくれあがり
誰もいない暗闇で破裂する
 


虚構であれ どこかにつながっていたいなら
誰にも聴かれてはならぬ
人知れず叩き潰す まるで
気泡をつぶすように
 
 

死んで 遺書として遺されたものだけが
唯一  他者に真摯に受け止められる言葉だ
そんなことは 15の頃に気づいていた
  


私は死なない
だから
私のことば 誰にも届かない 
 

すべてがfictionのこの生の中で
ただ real なのは 痛みだけ



 
きっと それでよい
 




 
 

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プロフィール

黒猫

Author:黒猫
このブログはHPから詩の部分だけをまとめました。

10代の頃からこれらの詩はいつも自分の中にありました。
私の中にとけ込んだ詩人たちんの言葉と私自身のつたないことばだち。

八木重吉の「秋の瞳」序文ではありませんが、このつたない詩を読んでくれたあなた  私を心の友としてください。

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